東北楽天ゴールデンイーグルスは、2004年にNPBへの参入を表明。仙台市宮城野区の宮城球場を本拠地として、2005年のシーズンからプロ野球のペナントレースに参加しています。
宮城球場は2005年時点で開場から55年が経過し老朽化していましたが、楽天が随時改修を行うことで、年間動員数が増加しています。
今回は地域密着のボールパークを目指す「楽天モバイルパーク宮城」の取り組みをご紹介します。

まず運営スキームですが、宮城球場は宮城県が所有し、楽天野球団が都市公園法に基づく管理許可制度により運営管理を行っております。
楽天野球団が運営に入った2005年より命名権の売り出しが始まりました。契約期間は3年でこれまでに計7回名称が変更し、現在は「楽天モバイルパーク宮城」となっています。

昨今の野球場運営においてボールパーク化がトレンドになっています。
楽天モバイルパーク宮城の大きな特徴が、既存施設を用いている点です。古いものを活かしながら、どう新しいものを創るかがポイントになります。

まず特徴的なのが、レフト側後方にある小さな遊園地「スマイルグリコパーク」です。観覧車・メリーゴーラウンドなど無料で遊びる場所がたくさんあるため、休日になると多くの子どもたちで賑わっています。
この形は「パーク・アット・パーク」と呼ばれるスタジアムの敷地内に共存する公園がある、サンディエゴ・パドレス本拠地のペトコ・パークをモデルになったとのことです。

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スマイルグリコパーク

また楽天が運営していることもあり年々IT化が進んでいます。2019年に球場内での支払いは100%キャッシュレス、2020年にはチケットレスも導入しました。
キャッシュレスに不慣れな人へ向けた、サポートを行うデスクも設置しており、細かな配慮もなされています。

サステナブルへの取り組みにも力を入れています。
日本一のサステナブル・スタジアムにすることを目指しており、2022年から使用している電力を100%再生可能エネルギー由来の電力に切り替えています。また、プロ野球界では初の「エコステーション」を設置し、ゴミ分別回収を推進することにより来場者に対してエコの啓蒙活動も行っています。

そして、一番重要なのが「地域連携」です。仙台を含む地方都市の多くは、人口減少が深刻化し、産業衰退や少子高齢化といった課題に直面しています。そのため、地方都市では「地域連携」をキーワードとした地方創生が必要不可欠です。
その取り組みとして楽天イーグルスの選手やチアリーダーが、学校や幼稚園を訪問したり、東北全県の教育委員会と連携をとり、小学校新1年生にキャップをプレゼントしたりしています。
また、仙台市教育委員会で推進している小学生と中学生を対象とした職場体験の一環で、試合開始前に楽天モバイルパーク宮城のお仕事体験をして、午後は試合観戦を楽しんでもらっています。
こういった活動を行うことで地域活性化に貢献し、楽天としても未来のファン獲得に繋げています。

「楽天モバイルパーク宮城」はいかがでしたか。
この球場の一番の特徴は既存の地方資源を活用した地域創生だと思います。
地方都市での課題の一つとして、エンタメ不足が挙げられます。スポーツを通して、多くの人々が集まり、地域経済が活性化していく。理想的な地域創生だと思います。
今後の楽天モバイルパーク宮城のまちづくりに目が離せませんね!